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ユニバーサルなおいしさを。
食のバリアを超えていく挑戦
「弾むショコラ」と「とろけるショコラ」が食品コンクールで連続受賞
「弾むショコラ」と「とろけるショコラ」が
食品コンクールで連続受賞

2025年末に開かれた「食品産業技術功労賞」表彰式で
安全に、そして何より「おいしく」、もう一度チョコレートを味わってほしい—— 日新化工が開発した嚥下困難者にも配慮したチョコレート粉末「弾むショコラ」と「とろけるショコラ」。2025年末と2026年春に、ふたつの食品コンクールで賞をいただいたこの製品の背景には、企画担当者の原体験と、食べる喜びへの深い敬意が込められていました。
目 次
- 受賞の知らせ——「心の豊かさ」の言葉に込められたもの
- 安全性が最優先で、おいしさは二の次
- 「適さない食材」とされてきたチョコレートで挑む
- プロジェクトの原点にあるのは、家族との記憶
- ご自宅でも。ご家族で同じ"おいしい"を分かち合う
受賞の知らせ——「心の豊かさ」の言葉に込められたもの
受賞の知らせ——「心の豊かさ」の
言葉に込められたもの
25年末、「弾むショコラ」「とろけるショコラ」は、食品産業新聞社の「第55回 技術功労賞(商品・技術部門)」を受賞しました。
製菓のプロフェッショナルが使用する高品質なチョコレート素材でありながら、嚥下機能に配慮したデザートとして介護食市場に新たな選択肢を提示した点、そしてユニバーサルデザインの考え方を組み込んだ独自性を評価いただいたものです。
そして年が明けた2026年春。今度は日本食糧新聞社主催「第11回 介護食品・スマイルケア食コンクール」の表彰式が行われ、両製品は審査委員長賞を受賞しました。
審査委員長を務められたのは、嚥下食分野の第一人者である金谷節子先生(金谷栄養研究所 所長)。講評では、本製品が単なる栄養補給ではなく、利用者のQOL(生活の質)に直結する「心の豊かさ」や「食べる楽しみ」を形にした点に光を当ててくださいました。
食品技術の側面と、介護・福祉の側面。そのどちらからも評価をいただけたことは、開発に携わった一同にとって、何にも代えがたい励みとなりました。ただ、この場所にたどり着くまでには、決して短くない歳月がありました。

安全性が最優先で、おいしさは二の次
国内の介護食品市場は、メーカー出荷金額ベースで約2,000億円規模。2028年には約2,200億円に達すると見込まれています。なかでも補食——おやつやデザートのカテゴリーは、高齢者施設を中心に需要が伸び続けています。
これまでの嚥下食デザートは、誤嚥を防ぐ物性や栄養設計が優先され、「おいしさは後回し」という課題を抱え続けてきました。
また、介護現場の人手不足は深刻さを増しています。厚生労働省の推計では、2040年には約57万人の介護人材が不足すると見込まれています。「調理の手間を減らしながら、おいしいデザートを提供したい」——「弾むショコラ」「とろけるショコラ」を開発するに至った背景のひとつです。

「弾むショコラ」「とろけるショコラ」をご利用くださっている東京の青梅慶友病院

バレンタインの日に、入院患者全員にふるまわれた約300食のデザート。残食はほとんどなかった
「適さない食材」とされてきたチョコレートで挑む
「適さない食材」とされてきた
チョコレートで挑む
チョコレートは、口の中で溶けると粘度が増します。そのため、誤嚥のリスクを抱える介護現場では、これまで「適さない食材」として扱われてきました。
私たちはチョコレートを中心とした製菓素材メーカーです。「だからこそ、できることがあるのではないか」、そう考えました。
「弾むショコラ」「とろけるショコラ」は、チョコレートの製造と同じ工程を経た粉末です。つまり、粉そのものがチョコレート。ココアパウダーと砂糖を混ぜ合わせたミックス粉にはない、チョコレート本来の深い風味を備えており、お湯や牛乳と合わせたときのなめらかな食感も、この製法だからこそ実現できるものです。
そのうえで、付着性に配慮し、まとまりやすさを重視した物性設計を行いました。目指したのは「チョコレート風味」ではなく「本物のチョコレート」のおいしさと嚥下機能への配慮の両立でした。

プロジェクトの原点にあるのは、
家族との記憶
企画を主導した担当者には、忘れられない記憶があります。
食べることが大好きだった父が、嚥下機能の低下とともに、日々の食事を「栄養摂取のための作業」へと変えていった——その姿を、そばで見ていることしかできなかった。当時はまだ中学生で、何もできませんでした。「今ならできることがあるのではないか」。その想いが、後の開発につながっていきます。
初めて摂食・嚥下食開発の専門家に相談を持ちかけたのは、約10年前のことです。しかしそのときは、「介護食は専門的な知識と経験がないと成功が難しい領域」だという率直な助言をいただき、プロジェクトは一度断念せざるを得ませんでした。
開発が再び動き出したのは、約3年前のこと。きっかけは、ある社員が家族の介護で「食の選択肢が限られていく」現実に直面したことでした。大好きだったケーキが食べられなくなり、プリンになり、やがてはその一口さえも叶わなくなっていく。そんな「食の選択肢が消えていく現状」を前に、おいしい介護食が少ないことに葛藤を抱かずにはいられませんでした。
食べることは、生きる喜びそのものであるはず。その信念のもと、社内の想いが一つにまとまり、再び開発への道が動き出しました。
そして今、製品は少しずつ現場に届き始めています。
ある施設では、弾むショコラを口にした入居者の方が、久しぶりに本物のチョコレートの味に出会い、静かに涙を流されたとうかがいました。食の制限のなかで、長く押し殺してきた気持ちが、あふれ出したのかもしれません。その姿を見ていたご家族も、一緒に涙されたと聞きます。
「食べたいものを、食べさせてあげたい」——出発点にあった想いが、確かに誰かのもとへ届き始めています。

「弾むショコラ」「とろけるショコラ」の企画担当者(左)と開発担当者。「第11回 介護食品・スマイルケア食コンクール」授賞式にて
ご自宅でも
ご家族で同じ"おいしい"を分かち合う



「弾むショコラ」「とろけるショコラ」は、介護施設だけでなく、在宅で介護をされているご家族にもお使いいただけます。作り方は、お湯や温めた牛乳と混ぜるだけ。シンプルな工程だからこそ、介護される方と一緒に「自ら作って、食べる」時間を分かち合っていただけます。「今日のおやつ、一緒に作ろうか」。そんな何気ない一言が、食卓に少しの会話と笑顔を添える——そんな製品であり続けたいと願っています。
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プロジェクトの原点にあるのは、家族との記憶
企画を主導した担当者には、忘れられない記憶があります。
食べることが大好きだった父が、嚥下機能の低下とともに、日々の食事を「栄養摂取のための作業」へと変えていった——その姿を、そばで見ていることしかできなかった。当時はまだ中学生で、何もできませんでした。「今ならできることがあるのではないか」。その想いが、後の開発につながっていきます。
初めて摂食・嚥下食開発の専門家に相談を持ちかけたのは、約10年前のことです。しかしそのときは、「介護食は専門的な知識と経験がないと成功が難しい領域」だという率直な助言をいただき、プロジェクトは一度断念せざるを得ませんでした。
開発が再び動き出したのは、約3年前のこと。きっかけは、ある社員が家族の介護で「食の選択肢が限られていく」現実に直面したことでした。大好きだったケーキが食べられなくなり、プリンになり、やがてはその一口さえも叶わなくなっていく。そんな「食の選択肢が消えていく現状」を前に、おいしい介護食が少ないことに葛藤を抱かずにはいられませんでした。
食べることは、生きる喜びそのものであるはず。その信念のもと、社内の想いが一つにまとまり、再び開発への道が動き出しました。
そして今、製品は少しずつ現場に届き始めています。
ある施設では、弾むショコラを口にした入居者の方が、久しぶりに本物のチョコレートの味に出会い、静かに涙を流されたとうかがいました。食の制限のなかで、長く押し殺してきた気持ちが、あふれ出したのかもしれません。その姿を見ていたご家族も、一緒に涙されたと聞きます。
「食べたいものを、食べさせてあげたい」——出発点にあった想いが、確かに誰かのもとへ届き始めています。

「弾むショコラ」「とろけるショコラ」の企画担当者(左)と開発担当者。
「第11回 介護食品・スマイルケア食コンクール」授賞式にて







