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Jul 01, 2026
 

【講習会レポ】" 単純なことこそ難しい " 
益田先生が追求する、食感の菓子づくり

【講習会レポ】 単純なことこそ難しい 
益田先生が追求する、食感の菓子づくり

益田一亜輝先生(東京製菓学校) × 日新化工 [ 東京都洋菓子協会 定期講習会 ]

益田一亜輝先生(東京製菓学校) × 日新化工
[ 東京都洋菓子協会 定期講習会 ]

実感に変わった「川上の笑顔」、
次なる一歩はアグロフォレストリー

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026年6月19日(金)、東京・世田谷区の「洋菓子会館」にて、公益社団法人 東京都洋菓子協会様主催の定期講習会が開催されました。今回の講師は、東京製菓学校 の益田一亜輝先生(写真左)。ホテルセンチュリーハイアット(現ハイアットリージェンシー)を経て母校に戻ったOBで、東京都洋菓子協会の理事・公認指導員も務めます。助手は同校の横内聖人先生が務めました。
受講生は約60名。比較的若い層が中心で、約半数を製菓学校の学生や卒業生が占めました。講習の前後を問わず、若い受講者が絶えず益田先生を囲む姿が印象的で、「良き先生」のもとに自然と人が集まる様子がうかがえました。

目 次

  • 定番菓子から組み立てた、マルサラとバトン テ ヴェール
  • " お菓子は食感 "  異なる食感を、一皿に組み立てる
  • 味わいを引き上げるために選んだチョコレート
  • 「単純なことこそ難しい」— 試行錯誤に宿る菓子づくり
  • 完成した2つのお菓子から伝わるもの
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定番菓子から組み立てた、マルサラとバトン テ ヴェール

定番菓子から組み立てた、
マルサラとバトン テ ヴェール

基本をおろそかにしない丁寧な作業

今回ご紹介いただいたのは、「Marsala(マルサラ)」と「Bâton thé vert(バトン テ ヴェール)」の2品。どちらも、定番菓子から着想を得て組み立てられています。

「マルサラ」は、イタリア・シチリア島西部のマルサラ地区で造られるお酒・マルサラワイン(白ワインを造る途中でブランデーを加えるワイン系のお酒)の名を冠したケーキです。益田先生いわく「ティラミスをベースに考えた」構成で、素材の風味と食感のコントラストが特徴です。チョコレートクリームにあたる「シャンティーショコラ カフェ」や「クレーム マスカルポーネ」、仕上げの「グラサージュ ショコラブラン」に、NKガーナホワイト33を使っていただきました。

もう一品の「バトン テ ヴェール」は、「ブラウニーをベースに」、相性のよい抹茶と栗を組み合わせた焼き菓子です。生地にはNKプチクーヴェル抹茶を使っていただきました。

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Marsala マルサラ(左)とBâton thé vert  バトン テ ヴェール

" お菓子は食感 "  異なる食感を、一皿に組み立てる

益田先生が強調されていたのが、「お菓子は食感。いつも食感を意識して、お菓子作りをしています」という言葉でした。その考え方がよく表れていたのが、いくつものパーツを重ねる「マルサラ」です。

ビスキュイは、シロップを打たないことを前提に柔らかく仕上げます。クレームブリュレは昔ながらの製法で、低温からじっくりと焼き上げたもの。クレムーカフェは、コーヒー豆の砕き方そのもので食感を生みます。クルミを使ったヌガティーヌ ノアは、ペクチンでサクッとした口当たりに(クルミはアーモンドやゴマで代えることもできるそうです)。こうして一皿の中に、性質の異なる食感がいくつも層になって組み込まれていきます。

素材の選び方にも、理由がはっきりとあります。マスカルポーネは、なめらかさを基準に。コーヒーは「豆は味が出て、粉は香りが出る」との考えから、豆と粉を併せて使います。バニラは、独特の香りを持つタヒチ産がお気に入りだといいます。

香りの引き出し方にも工夫が見られました。クレーム マスカルポーネでは「お酒の香りをより引き出すために、生クリームの中にお酒を入れる」と話します。乳脂肪がお酒の香りを抱き込み、逃がさず留めてくれるのだそうです。

味わいを引き上げるために選んだチョコレート

味わいを引き上げるために選んだ
チョコレート

作業の合間には、使用した素材についても先生の考えを伺えました。

「マルサラ」の「クレーム マスカルポーネ」で使ったNKガーナホワイト33について、益田先生は「チョコレートは必ずしも必要ではない。けれど、入れるとコクが出る」と話します。風味の要というより、味わいに奥行きを足すための一手、という位置づけのようです。NKガーナシリーズそのものについては「タブレットが細かく、融かしやすい」とも。

抹茶を使った「バトン テ ヴェール」では、近年、抹茶が手に入りにくく価格も上がっている現状にも話が及びました。NKプチクーヴェル抹茶のような製品について、シェフは「抹茶やほうじ茶のチョコレートは、お茶素材の代わりとしても使える」と、現場の感覚から語っていました。

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「単純なことこそ難しい」— 試行錯誤に宿る菓子づくり

「ごく当たり前のフランス菓子」の
精度を高める

「バトン テ ヴェール」について、益田先生はこう振り返ります。抹茶と栗の風味を引き出すために、卵の立て方や使い方、焼成の温度や時間まで、「ここまですることはない、というくらい」試し続けたのだそうです。そのうえで漏らしたのが、「単純なことこそ難しい」という一言でした。

納得がいくまで試すのは、作り方だけではありません。素材選びも同じです。先頃撮影されたレシピ本では、桃・ジャスミン茶・ライチを使った一品を手がけ、思うようなジャスミン茶を探して台湾のものに行き着いたといいます。

印象に残ったのは、講習の前後を問わず若い受講者が絶えず先生を囲んでいたことです。主催者によれば、在校生だけでなく卒業生も毎回多く受講し、常連の受講者からの人気も高いのだそうです。焼いている途中のビスキュイを「少しずつでも試食させてほしい」という突然のリクエストにも、その場で応じていました。素材や製法の細かなところまで気を配る仕事ぶりが、こうしたやりとりからも伝わってきます。

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完成した2つのお菓子から伝わるもの

最後に2品を試食させていただきました。
「マルサラ」は、グラサージュやシャンティのなめらかな舌触り、ビスキュイのしっとりとした生地、ブリュレやヌガティーヌ、コーヒー豆のザクザクとした歯ざわりが、一皿の中で重なります。食感を意識して組み立てる、という話の通りの一品でした。マルサラ、マスカルポーネ、バニラ、コーヒー、クルミ、チョコレートと、素材のまとまりも感じられます。

「バトン テ ヴェール」は、抹茶と栗の風味がはっきりと伝わる味わいでした。卵の立て方から焼成まで試し続けたという、その積み重ねが伝わってきます。

素材それぞれの性質をふまえ、単純な工程を一つずつ積み上げていく。その先にある味わいに触れられた講習会でした。

益田先生、横内先生、そして東京都洋菓子協会の皆様、ありがとうございました。

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