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【講習会レポ】ルーツを胸に、挑み続ける。
レザネフォール・菊地シェフのお菓子
ルーツを胸に、挑み続ける。
レザネフォール・菊地シェフのお菓子
菊地賢一シェフ(パティスリー レザネフォール) × 日新化工[ 東京都洋菓子協会 定期講習会 ]
菊地賢一シェフ(パティスリー レザネフォール) ×
日新化工[ 東京都洋菓子協会 定期講習会 ]


ホテルに移ったばかりの1年目。先輩シェフの助手として、初めてこの講習会の舞台に立ちました。それから時を経て、今回は講師として4回目の登壇です。去る9月、世田谷区の洋菓子会館で公益社団法人 東京都洋菓子協会様の定期講習会が開かれました。講師を務めたのは、恵比寿「パティスリー レザネフォール」の菊地賢一シェフです。
菊地シェフは神奈川県出身です。都内の洋菓子店やパークハイアット東京を経て渡仏し、パークハイアット・パリ・ヴァンドームで腕を磨きました。在仏中には「ガストロノミック アルパジョン コンクール」で優勝しています。帰国後、パリのセバスチャン・ゴダール氏のもとでも学び、2012年に恵比寿で「レザネフォール」を開業。2018年には中野に2号店をオープンしました。
目 次
- 助手から講師へ、そして再びコンクールへ
- 見た目も涼やか「紅茶とオレンジのゼリー」
- 洋梨のフォルムが愛らしい「マカロンポワール」
- パリの師から受け継ぐ「オテロ」
- 瑞々しく、はかなく、まっすぐに


目 次
助手から講師へ、そして再びコンクールへ
助手から講師へ、
そして再びコンクールへ
シェフがこの講習会に初めて参加したのは、パークハイアット東京に移ったばかりの1年目でした。横田シェフ(現・菓子工房オークウッド オーナーシェフ/埼玉・春日部市)の助手としての参加です。ロボクープでパンナコッタをうまく回せなかったこと、パルフェをうっかり冷蔵庫に入れて試食で大慌てしたこと。いまでは笑い話になった思い出を、楽しそうに語ってくださいました。
ご自身の歩みについても語ってくださいました。恵比寿での開業は「人生をかけた勝負」だったといいます。修業中からいつか店を出すと決めていて、それが職人としての最終目標でした。恵比寿を選んだのは、「この場所ならいける」という直感です。テイクアウト専門店として、ゼロから始めました。
「激戦区ですが、自分のルーツ、修業した親方のお菓子はやっぱりおいしい」
大切なのは、自分のルーツに自信を持つこと。昔のレシピをもう一度見つめ直して店頭に並べると、お客様も喜んでくれるといいます。
アルパジョンで優勝して以来、コンクールからは離れていました。しかし近年、クープ・デュ・モンドの予選に挑戦し始め、次回で3回目になります。人気店のシェフとしての地位を築いた今も、なお挑戦をやめない。その姿勢に、作り手としての覚悟を感じました。
それでいて、語り口はとても気さくです。会場との距離も近く、自店で販売しているお菓子やその制作のポイントを、惜しげもなく披露してくださいました。「いまは、お店で日常的にやっていることをそのまま伝えたい」という言葉通り、この日の3品も、レザネフォールでの日々の仕事に根ざしたお菓子です。

見た目も涼やか「紅茶とオレンジのゼリー」
見た目も涼やか
「紅茶とオレンジのゼリー」
一品目は、お中元の人気商品であるヴェリーヌ仕立てのゼリーです。紅茶とオレンジの2層が、グラスの中で涼やかに重なります。
お中元のように配送する商品は、包材費やクール便代などのコストがかさみます。「原価計算をきちんとしないと、ビジネスになりません」。人気商品の裏側にある、
経営者としての視点も語ってくださいました。
仕込みのポイントは、紅茶の抽出です。長く浸すと濁ったり渋みが出たりするため、茶葉をたっぷり入れて、すぐにこすのがコツだそうです。


洋梨のフォルムが愛らしい「マカロンポワール」
洋梨のフォルムが愛らしい
「マカロンポワール」
二品目は、洋梨をかたどったマカロンです。シナモンで描いた点々が洋梨の皮を思わせ、ヘタはショコラ・ヌメロ・ドゥ ノワール3959で作ったプラスチックチョコレートです。マカロンを寝かせず、立てて仕上げているのもビジュアルのポイントです。
いまやマカロンは、コンビニやファストフード店でも手に入ります。「パティスリーでやる意味があるのか」を考えた、とシェフ。生地は、東京・八王子にあったマカロンの名店として知られたア・ポワンゆかりのレシピです。
中には、NKガーナミルク39を使ったトンカ豆のキャラメルガナッシュを重ねます。キャラメルを炊きはじめると、会場いっぱいに香ばしい香りが広がりました。グラサージュやプラスチックチョコレートといった細かなパーツまで、すべて自らの手で仕上げていく。フランス菓子職人としての、ていねいな仕事ぶりが随所に表れていました。

パリの師から受け継ぐ「オテロ」
三品目の「オテロ(Othello)」は、パリのセバスチャン・ゴダール氏の店で作られていた、メレンゲとガナッシュのお菓子です。本来はテニスボールほどの大きさがある、フランスらしいボリュームのある一品です。日本ではなかなか手に取ってもらえないそうですが、ぜひ紹介したいと選んでくださいました。
「ゴダールさんのレシピは、シンプルなものが多い。でも、すごくおいしい」
ガナッシュと、周りにまぶした砕いたチョコレートには、ショコラ・ヌメロ・ドゥを使っていただきました。シェフがこのチョコレートに初めて出会ったのは、展示会だったそうです。
「日本のチョコレートもここまで来たかと驚きました」
ノワール3959だけでなく、準チョコレート規格の「3355」も良いと評価いただいています。マカロンのガナッシュに使ったNKガーナミルク39をはじめ、弊社のチョコレートについて「みんなが好きな味。チョコレートが愛されるポイントを押さえているので、おすすめ」とのお言葉もいただきました。

瑞々しく、はかなく、まっすぐに
最後に3品を試食させていただきました。
「紅茶とオレンジのゼリー」は、紅茶の香りが瑞々しく立ち、えぐみは一切ありません。そこへオレンジの華やかな香りが重なる、夏の贈り物にふさわしい一品です。
「マカロンポワール」は、口に入れた瞬間にほどける、はかない食感が見事です。ていねいに炊き上げたキャラメルの香ばしさが、後からゆっくりと追いかけてきます。名店ア・ポワンの流れをくむマカロンを味わえる、貴重な機会でもありました。
「オテロ」は、メレンゲとガナッシュだけのシンプルな構成だからこそ、素材の良さがまっすぐに伝わります。周りにまぶした砕いたチョコレートが、食感と味わいのアクセントになっていました。
「お菓子を作ること、仕事をすることが大好き」。そう語るシェフの笑顔に、この日のお菓子のおいしさの理由を見た気がします。菊地シェフ、東京都洋菓子協会の皆様、ありがとうございました。




